歯科医院院長のブログ

PLだけじゃダメ?本当の経営は“BS”が決める!

PLだけじゃダメ?本当の経営は“BS”が決める!

2025年03月22日 16:47

会社経営の本質──PLを追うな、BSを見よ


ある日、若き医院経営者が私のもとを訪れた。

「先生、事業は順調なんですが、利益が思ったほど残らないんです」

私は静かに頷き、彼に問いかけた。


「君は会社のどこを見ている?」


彼は少し考えてから言った。

「やはりPL(損益計算書)です。売上が伸びているか、経費がどれくらいかかっているか、利益がどれくらい出ているか……。」


私は微笑みながら、紙とペンを取り出した。そして、一枚の図を描き始めた。

「多くの経営者はPLを意識する。売上を伸ばし、利益を増やすことに集中するのは当然だ。だが、本当に大切なのはBS(貸借対照表)なのだよ。」


彼は怪訝そうな顔をした。


「PLが会社の成績表なら、BSは会社の体力を表すものだ。PLばかり見ていても、長期的な成長は難しい。会社を成長させるためには、BSを強くすることが不可欠なんだ。」


PLとBS──利益はどこへ行くのか?


「例えば、君の会社が1000万円の利益を出したとしよう。これはPLの最終行に『純利益』として記載される。でも、その利益はどこへ行くと思う?」


彼はしばらく考えた後、「銀行に貯まるんじゃないですか?」と答えた。


私は首を振る。「一部はそうだが、本質的にはBSの『利益剰余金』として積み上がるんだ。つまり、毎年のPLの純利益は、BSの純資産を増やす要素になる。そしてBSが大きくなるほど、会社の財務体質は強化される。」


彼は興味深そうにメモを取り始めた。

読者も考えてみよう。



1. 図に表れる「三表」の流れ

  • CF(キャッシュフロー計算書)
    会社に届いてくる現金や支払われる現金の流れを示します。図では、昨年度・今年度それぞれで得られた「現金」が、矢印に沿ってBS(貸借対照表)に一時行われていく様子が描かれています。

  • BS(貸借対照表)
    会社が保有する資産・利益・純資産を示し、いわば「会社の体力」を表すものです。現金だけでなく、PL(損益計算書)で生まれた利益も、最終的にはBSの「利益残留金」として積み上げていきます。

  • PL(損益計算書)
    会社の売上・経費・利益を示し、いわば「会社の業績表」です。ここで算出された純利益は最終的にBSへ反映され、今後の成長原資となります。



2.利益余裕金の使い道:内部収益と投資設備

図をよく見ると、「現金が一時」されるだけでなく、「利益が一時」されるプロセスが重なって描かれています。

  1. 内部収益(内部収益)として蓄える部分

    • いざというときの運転資金や、将来の設備更新・リスク対策などに充てるためのもの。

    • 会社の安全余裕(バッファ)を高めることで、経営の安定状況を考えます。

  2. 設備投資に優先する部分

    • 限定お金を使うのではなく、「営業利益を増やすための投資」を向きます。

    • 無駄な支出ではなく、明確なマネタイズ基準(ROIやROA、ROEなどの指標)を重視し、長期的に利益を増やせるものに投資することが重要です。

とりあえず内部収益と投資にメリハリをつけることで、会社は持続的な成長を目指すことができます。


3. どうせBSが大事なのか?

「PLばかり見ていると、長期的な成長は難しい」と言われるのは、利益をどう活用するかが重要だからです。PLで示される数字(売上・利益)がどれだけ好調でも、その後BSに資産として積み上がるキャッシュや利益残り金が弱ければ、次の残り投資力は生まれません。

とりあえず、BSがしっかりしていると安全性が高い。不況や売上減少にも耐えられる上、新しい設備投資や事業拡大に柔軟に対応できます


4. 「どこを見れば」が経営の分かれ道

本文中にあるように、多くの経営者は「PL(損益計算書)」に注目しがちです。売上や経費、利益を意識するのはもちろん必要ですが、それらの最終的な着地点がBSにどう反映されているかを常にチェックする必要があります。

  • 売上や純利益が増えても、BSで現金や残り金がしっかり積んでない

  • PLで利益は出てても、資本以上に

  • 売掛金や借入金が多い。

  • これは、実は体力がない」状態を示すことも多いです。


5. まとめ:会社経営はBSから始まる

  1. 利益は最終的にBSに積み上がり、会社の構成要件を強化する。

  2. 利益余剰金は、内部余裕と成長投資にメリハリをつけて使う。

  3. PL(損益計算書)で算出された利益をどう活かすか、経営者の腕の見せ場。

この図が教えてくれるのは、「利益を稼いで終わり」ではなく、「稼ぐ利益をどうBSで強化し、次の投資やリスクヘッジに逃げるか」が会社寿命を長くすること、成長の鍵となります



↓さらに細かいTIPS


#借金返済はBSの負債額が減っていく。キャッシュフロー計算書で営業CF財務CF投資CFでキャッシュフローの増減を期末に確認する
キャッシュフロー計算書(CF)は、営業CF・投資CF・CFの3区別を期末に確認し、会社の実際の現金振込を認識するためのものです。

  • PLやBSの数字だけでなく、期末に手元にどれだけキャッシュが残ったか(キャッシュフロー)を見ることが、経営の現状を正しく理解する大切である。